5回目

 『今回は・・・』
 そう言えば、歩く時に持ち歩いている物。
 以下の通り。
 入れ物は、迷彩柄のデイパック(大変な安物)。
 
 傘、地図、救急ばんそうこう、包帯(ひも代わりにも使えるしね)、下着、靴下、Tシャツ、トレーナー、ウインドブレーカー、列車の切符、現金、小銭入れ、携帯電話、携帯の充電器、帽子、日焼け止め、タオル、ポケットティシュー、文庫本(アトランダムなり)

 最小限だね。
 文庫本は毎回持って行く。
 電車待ちの時とか、夜ホテルにいる時とか便利。
 今回は、『ゴッホの手紙』。
 ゴッホが凡百の人間と違う点は、志の高さであると思ったよ。まるっきり異常な高さである。ちょっとマネできんだろうな。

 荷物に関しては、あと小さいパソコン+エアエッジが欲しいんだけど、エアエッジの使用料などを考えると、まだ無理だな。
 もう少し安くならないと、貧乏人は持ち歩けない。
 
 前日あんまり寝てないので、早起きはちょっとつらい。
 今回スタート地点のJR石越駅は、宮城県の北端。
 遠い。
 だんだん、スタート地点に行くこと自体が大変になりつつある。仕方ないが。
 山形駅で、気持ち悪くなり、2時間休憩。
 実は乗り物が苦手なのである。
 電車なんて、少し乗っただけで気持ちが悪くなる。
 年齢とともに、ますますひどくなりつつある。
 電車に乗っている時は、いつも「よくまあ、みんな平気で電車に乗れるもんだなあ」と感心する。
 特に、電車の中でポテトチップス食べたり、コーラ飲んだりしている人は、信じられない気持ちである。
 わたしは気分が悪くなるのを防ぐために、乗る前には一切何も食べないくらいなのに。
 ま、仙山線乗ってるうちに、少し気分が収まった。
 で、石越駅に着いた時には、正午近くになっていた。
 これまた、しょうがない。

 『石越駅スタート』
 「やっと、来れたなあ」の気分。
 冬を挟んで、数ヶ月ぶりだものな。
 雪がある時は、さすがに歩く気になれなくて。
 
 天候は小雨。
 徒歩旅行初の雨である。
 今まで、不思議と晴天が多かった。
 しかし、その偶然がいつまでも続くわけもない。
 ついに、雨の日となった。
 これもまた仕方がない。
 折り畳み傘を開く。100円で買った傘である。
 この傘、ものすごく小さい。
 普通の折り畳み傘の3分の2くらいの大きさしかない。
 やっと体が隠れるくらい。
 しかし、小さくて軽いので、持ち運ぶ時はメチャ便利。
 
 前回、ここから帰る時は夜だった。
 昼間見ると、なおさら田舎の辺鄙な駅だ。
 でも、駅前にベンツのAシリーズがいる。
 不似合い。
 朝から何も食べてないので、駅前の食堂で何か食べようかなとも思ったけど、その店、あまりにも古い雰囲気なのでやめた。
 昭和40年代を思わせる店構え。
 入口が、木の引き戸だ。
 でも近くにほかに店が無さそうなので、それに何はともあれ駅前なので、案外はやっているのだろうか。
 
 地図を軽く確認して、一関市を目指す。
 細い田舎道。
 もう、「徒歩旅行するのだ」という意気込みは無い。
 慣れてしまって、別にただ散歩に出るって感じ。
 小雨だけど、車の通りもほとんどなく、歩きにくいことはない。
 しかし、ちょっとだけ道に迷う。
 地図に出ていない、新しい道があるので、一瞬迷った。
 家、あんまり無い。
 
 ちなみに、もう20年前の地図はやめて、新しい地図を携帯している。
 徒歩旅行を始めて、地図って便利だなあと再認識した。
 
 途中、踏切があったんだけど、通っていく電車がたったの一両編成だった。
 紫色のとっても古風な電車。つまり古臭い。あっちこちへこんでるみたいに見えるし、塗装がまだらになってるみたい。
 しかも、動きがとってもスロー。
 田んぼの真ん中にひかれた線路をのんびりと走っていく。
 昭和40年代みたいな雰囲気だった。
 「こんな風景残ってるんだなあ」と思った。

 『岩手突入!』
 そして、ついに・・・
 岩手県。
 歩くって、時間かかるけど、とにかく根気良く歩けばどこまでもいけるのだ、ということを改めて認識。
 よくまあ、岩手県まで。
 とは思うものの、雨が降っているので、とりあえず、うっとおしい。
 広い県道に出たら、冬季用の滑り止め砂入れがあって、そこに岩手県と書いてあって、「いやあついに・・・」とは思った。

 県議選の選挙カーが走っていて、うるさい。
 声をはりあげて「お願いします、お願いします」と言っているが、そんなこと言ったからといいて、投票する人はこの世にいるのだろうか。
 もうちょっと、お願いする上での根拠を述べたほうがいいのではないだろうか。つまり、政策を。
 ひたすらお願いしますと言われてもなあ。
 これは岩手県の南端でしょ。
 盛岡選挙区で、グレート・サスケが立候補していたとはなあ。
 いったい、何を考えて立候補したものか。
 あきれるなあ。
 まあ、選挙はお祭りってことだな。
 
 とにかくこのあたり、家が無い。
 したがって、雨が横殴りに吹き付けるので、ズボンがびしょ濡れ。
 雨の日は、歩くべきなのか、休むべきなのか、と考える。
 以前ウエブ上で読んだ日本一周の人は、雨の日はカッパを着て歩くとかいていた。
 そこまでやる気は無い。
 こちらの場合、娯楽系徒歩旅行だから。苦しい思いをしてまで歩く気は無いんだな。
 ますます雨脚が強くなる。
 ウインドブレーカー着ているのに、寒い。
 前日まで暖かかったので、ウインドブレーカー必要かな、と一瞬思ったが、もって来てよかった。
 無かったら、とても歩くどころではなかった。
 でも、夕方4時くらいになったら、寒くて耐えられない。
 雨も強いし、薄暗くなった。
 リタイアを考える。
 ちょうど、清水原駅の看板。
 ここから電車に乗り、一関に泊まることにする。
 
 『清水原駅』
 無人駅。
 一関駅の2駅前の駅。
 2畳くらいの広さのプレハブ風待合室があるだけ。
 あ、でも隣のトイレはきれいだった。
 電車が来るまで40分。
 でも、その方が好都合。
 びしょ濡れの服で乗るのは、気が引ける。
 電車を待つ間、『ゴッホの手紙』を読む。
 寒い・・・
 服が濡れていて、気持ち悪い。
 「これも、旅の醍醐味のひとつか」と考える。
 「早く、ホテルで休みたい」とも考える。

 『一関駅』
 4月上旬なのに、駅の中には大きなストーブが2つ。
 実際、寒い。
 ホテルの看板を見るうち、駅の中にパン屋があることに気づく。
 べーグルがある。
 プレーンのべーグルと、ブルーベリー味のべーグル、あと食パンを買う。
 駅前に蔵ホテルとか言う名前のホテルがあるらしいので、そこに泊まるかな、と考えて歩き出す。
 コンビニに寄った後、ホテルに入る。
 受付、とっても小さい、というか狭い。
 蝶ネクタイをした若い女の人に「部屋ありますか?」と尋ねると、自身無さそうな表情で「はあ、ありますけど・・・」とあいまいに答える。
 「部屋ありますか」というのは、つまり宿泊したいという意味に決まってるのにな、と思う。
 「あの泊まりたいんですけど」と言うと、ようやく彼女はこちらにカギを渡して、「エレベーターでどうぞ」と言う。
 「あの、料金はいくらですか?」と尋ねる。
 「えっ、今でいいですか?」と彼女。

 今まで結構ビジネスホテルにも泊まったけど、後払いのホテルなんて一軒も無かったぞ。大体、客が逃げたらどうするんだ。
 こちらも「え? いや今でいいですよ」と言って、お金を払う。
 「後払いのホテルなんてあるのだろうか」と疑問に思いながら、部屋に入る。
 きれいな部屋。
 
 『衛星放送』
 なにより、テレビ、衛星放送が写る。
 我が家は、衛星放送入れてないので、うれしい。
 「あれ? きょうは野球があったのでは」と思って、テレビをつけると、なんと阪神・中日戦。
 ラッキー!
 べーグル食べながら、阪神戦が見れた。
 9回裏に浜中が同点ホームランを打つ。結局、延長で負けたけど、おもしろかった。

 べーグルおいしい。
 部屋もきれい。
 野球も見れる。
 楽しい。
 普段飲まないコーラなんかも、飲んだりする。
 日記も書かず、ずーっとテレビを見てしまう。
 衛星第二で『バットマン・リターンズ』をやっていたため。
 この映画もおもしろい。
 ペンギン男が最高。
 ペンギン男が生の魚にかぶりつくシーンが、秀逸である。
 いやあ、いいなあ、と思う。

 あと地元のテレビ局のニュースで、なんとあの紫色の電車の特集をやっていた。
 くりはら田園鉄道という私鉄で、今存続の危機にあるのだそうだ。
 一日だけ、運賃を半額にしたり、沿線の高校生用に通学バスを運行したりと、涙ぐましい努力をしているんだけど、インタビューに答えている乗客たちはみんな冷静で「乗る人いないからねえ、なくなるんじゃないですか」なんて言っている。
 ひょっとして、わたしは貴重な物を目撃したことになるのか。
 どうも今年中に廃線になりそうだものな。

 12時ごろ、寝る。

 『4月9日、一関市スタート』
 結局、清水原駅から一ノ関駅までは電車に乗ったので、歩いていないことになる。
 つまり、完全な徒歩日本一周にはなっていないわけである。
 しかし、娯楽系徒歩旅行者にとっては、大した問題ではない。
 おおむね、歩けていれば、それで十分。
 若い頃なら、几帳面に清水原駅まで戻って歩いたかもしれんが、もう40過ぎると、そんな無意味な几帳面さは無い。
 だって、誰かに頼まれて歩いているわけでもないし、完全な日本一周したところで誰かにほめられるわけでも、何かの役に立つわけでもないしね。
 楽しければ、それでいいのである。
 ある意味、わたしも大人になった、と、そういうことだな。

 『リーボックのトレーナー』
 ホテルを出る時。
 受付の、髪の薄い50歳くらいのおじさんは、朝早くのためか、まだ制服に着替えてなくてトレーナー姿だった。
 そのトレーナー、おいおいおい、オレが着ているトレーナーとまったく同じものだ!!
 紺色のリーボック社製(胸にデカデカとリーボック社のマーク入り)。
 こちらはウインドブレーカー着てたけど。
 いやあ、ウインドブレーカー着ていて良かったと思ったよ。
 40代のおっさんと、50代のおっさんが同じトレーナーを着て鉢合わせって、かっこ悪いよな。
 まったく、旅行なんてしてると、いろんな体験をするものである。しみじみ。
 
  『国道4号』
 今回は珍しく主要国道を歩くことに。
 なぜならば、4号線沿いには中尊寺や高館義経堂などの歴史的建築物があるからである。
 せっかくだからちょっと、見てみたい。
 朝7時半くらいに出発。
 やはり4号線はキツイ。
 6車線だよ。
 朝から、トラックがいっぱい。
 排気ガスもいっぱい。
 いやあ、歩くのには適してない。
 まあ、確かに歩いている人もいないけどさ。
 国道4号沿いなんて、歩くと健康に良い、なんて話にはならない。
 かえって、健康に悪いくらいだ。
 景色も楽しくないし。
 ま、仕方が無い。
 
 小雨も降っている。傘を開くほどではないが。
 きのう、天気予報では曇りのち晴れ、になっていたのに、全然違うじゃないか。
 
 『靴』
 今回は、新しい靴を履いてきた。
 今までは、足にぴったりのランニングシューズだったのだが、長時間歩くと、足がむくむのか大きくなって、つま先が痛かった。
 たまたま買ったワールドマーチのウォーキングシューズが大きめだったので、これがいいかと思って履いてきたのである。
 正解だった。
 ふだん履くには大きめなのだが、長時間歩行にはちょうど良い。
 しかし、ワールドマーチ、値段の割には安っぽい。履き心地も今ひとつ。ウォーキングシューズなのに、歩いているうちに靴ひもが緩んでくるというのは、いかがなものか。
 1万円もする靴とは思えない。
 同じ値段で、ナイキやアディダスだったらもっと良いシューズが買えるよ。
 発展途上ブランドだから、仕方が無いのか?
 「サロモンあたりのトレッキングシューズがいいかなあ」と、歩きながら考えたりする。

 『高速道路』
 ボーっと考え事をしていたら、いつの間にか高速道路のアクセス道路(つまりそのまま行くと、高速の料金所に行く道)を歩いていた。
 びっくり。
 こんなとこ歩いていたら、車にひかれる。
 歩道なんかないんだから。
 あわてて軌道修正する。

 『義経堂』
 気がついたら昼ごろ。
 考え事をしながら歩いていると、あっという間に時間がたつ。
 中尊寺金色堂は、一度見たことがある。
 もう一度見たい気もするが、入場料が高いので、今回は義経堂(ぎけいどう)に行くことにする。
 源義経と弁慶が死んだ所である。
 それを記念して建てたのが、高館義経堂だそうだ。
 丘の上にある。看板には、平泉が一望できます、と書いてある。
 結構高い場所にあるが、なにせこちらは徒歩旅行者。登るのも、なんということもない。
 相変わらず、小雨。
 途中で傘を開いたら、使用2日目にして、骨に止めてある端の糸がほつれていた。さすが、100円の傘だ。
 入場料は200円。安い。
 上に登ると、景色が良い。
 下に見える川岸は、工事中のようだ。
 公園とか作ろうとしているみたい。
 自然のまま残しておけばいいのに、と考える。
 
 松尾芭蕉の碑がある。
 「夏草や つわものどもの 夢の跡」の句が彫ってある。
 このような句、昔は全然興味無かったが、この年になってみると、「確かにそうだなあ」と思ったりする。
 すべては、夢の跡だと思ったりする。
 
 しみじみした後、ベンチで荷物の詰め替えをしていると、人の気配がする。
 薄緑色の作業服を着たグループが登ってきた。
 作業服といっても、県庁土木課の職員といった感じ。現場で指示している側の人たちだと思う。
 河川工事の人たちが、昼休みに、見学に来たのだろうか。

 ちなみに、荷物の詰め替えは、要するに中の荷物をビニール袋に入れていたもの。この安物のデイパックは、防水機能がゼロらしく、きのうはちょっと雨が降っただけで、中の荷物がびしょ濡れになっていたのである。
 その対策。

 なんかグループを前に、ひとりで変なおじさんが荷物の詰め替えをやっていると、浮浪者に見えるんじゃないかなと思ったりした。
 ま、別に見えてもいいんだけどさ。

 芭蕉の碑から少し離れたところに、頼三樹三郎の碑もあった。いろんな人がいる所だ。

 下に降りたら、道路にエンジン掛けっぱなしのエスティマが止まっていた。県庁職員(?)の人たちの車らしい。地球に優しくない人たちである。多少寒いとはいうものの、エンジンくらい切ればいいのにね。

 『前沢クジラ』
 さらに4号線。
 「前沢クジラ発見の地」の看板。
 この辺で、クジラの化石が出たらしい。
 海だったわけだね。
 今は牛で有名だが。
 平泉を過ぎると、4号線も田舎道になる。
 多少、歩きやすいか。
 相変わらす、小雨。
 結局、天気予報と違って、晴れない。
 
 『前沢駅』
 午後1時過ぎになって、ようやく前沢駅で休憩。
 こういう寒い日は、駅でもないと休めない。
 外で立ち止まると、寒くてかなわない。
 汗を多少かいているので、余計寒いんである。
 前沢駅、古い。
 やはり、ストーブたいてる。
 寒いので、ありがたい。
 
 15分くらい休んで、再出発。
 外に出たら、花火が上がっている。
 なんだ? と思ったら、どうやらなんかのお祭りらしい。
 ちょうど、参勤交代の行列みたいのが来るところだった。
 わが市にも、このような江戸時代風行列を伴うお祭りがあるけど、どこにでも同じようなものがあるんだな、と思う。
 いや、しかし・・・
 しかし、わが市のものとは、ちょっと違う。

 おばさんたちが、各自の家の前に出て、行列を待っている。それぞれ、手にはお盆を持っていて、そのお盆の上には白い紙包みが3、4個載っている。
 紙包みはみんな同じ形に見える。
 三重の塔を、ものすごく小さくした感じ。
 あまりにもきれいに包んであるので、既製品かと思えるほどだが、たぶん手作りだと思う。
 何が包まれているのか知りたいので、よく見ようかと思うけど、あんまりジッと見ていると変な人だと思われそうなので、ちらと見るにとどめる。
 たぶん、行列の人たちへの心づけなんだろうな。
 ひとりのおばさんが「きょうはみんな外に出て待ってないから、もう(行列が)行ったのかと思った」とか言っていて、話しかけられたおばさんが「みんな、ゆっくりしてるんでしょう」みたいなことを言っていた。
 こんな会話を聞くのも、旅情と言えるな。
 徒歩旅行ならでは、であるな。

 『HONDAのasimo』
 古びた、営業してるのかしてないのかわからないような農機具販売店に、ホンダの歩くロボットasimoが飾られていて、びっくりした。
 一面ガラスのディスプレーは、ほこりだらけ。
 中に飾ってあるのは、これまたほこりを被った耕耘機や原付。
 「おいおい、盗まれるぜ!」と、一瞬思ったのだが・・・
 よくよく見ると、本物のアシモではなく、空気を入れてふくらませる人形のアシモだった。
 販売店の客寄せ用に作ったんだろうな。
 こんな所に本物があるわけないよな。
 まったく人騒がせな。

 『県議選』
 相変わらず、前沢市内も選挙カーがうるさい。
 ホント、政治家は戦うことが好きである。
 政治家というのは、最も戦争好きな人たちなのだろうな。
 だから、政治家に政治をさせておく限り、戦争はなくならないと思う。
 選挙に立候補を表明した人は、自動的に立候補から外れるという法律を作ったらどうだろうか。
 そして、浮浪者の人たちを国会議員にしてはどうだろうか。
  
 この日は水沢市まで行こうかと考える。
 ちょうど夕方に着くから、都合が良い。
 この時点で2時ごろで、水沢まで10キロとかだったと思う。
 宿泊は、一関のきのうと同じホテルかな、と考える。

 『水沢着』
 夕方4時半ごろ、水沢着。
 「あれ、もう着いたか」って感じだった。
 もう徒歩旅行にも慣れたせいか、7時間半くらいの歩きも、一瞬って感じ。
 以前は、7時間も歩くと、脚が痛くなって、膝が曲がらなくなって、「脚が棒になるとはこのことか」とか感じて、しかも体がフラフラしてトラックにひかれそうになっていたけど、きょうはそんなこともない。
 多少脚が痛く、ほんの少しフラつくくらい。
 しかし、頭の中は快晴。
 疲れはまったく感じない。
 あっという間だなあ、と思った。
 さらに「刺激が無くなったなあ。刺激を感じるには、10時間くらい歩かないと
ダメになったかなあ。そのうち、一日に15時間くらい歩くようになるんじゃないだろうなあ」なんて、考えた。
 
 ま、ともかく水沢駅に到着して、めでたい。

 『水沢駅』
 一関まで電車で行こうと考えたんだけど、待ち時間が1時間くらいある。
 駅で待つ。
 駅自体が小さいから、待合室も小さい。
 プラスチックのイスが、20脚くらいか。
 あのね、ここ、地元のおじさんたちの憩いの場になってる。
 一杯機嫌のおじさんたちが数名。
 「職安行ったか?」とか、「仕事見つかんないな」とか言いながら、日本酒飲んでる。つまみは、柿のタネらしい。
 ま、浮浪者じゃないから別に気にはならない。
 泥酔しているわけではないし。
 しかし、女子高生なんかはどう感じるんだろうか。
 やっぱり、嫌がるんじゃないかな。
 おじさんたち、毎日来てるんだろうな、と思う。
 ストーブがあって暖かいし、仲間もいるし、イスもあるし、テレビもあるし、売店もあるし。
 図書館とかだと、酒飲めないだろうしな。
 
 『一関駅』
 駅の中のパン屋で、またまたべーグル買う。
 きょうは黒糖のべーグル売ってた。
 あと、ピザも買う。

 きのうと同じホテル。
 このホテル、よく見たら、蔵なんとかホテルじゃないかった。セントラルとかなんとか言うホテルだ。
 蔵ホテルに行く前にあったので、こっちに入ってしまったのだ。でも、別にこっちでもいいわけで。

 きょうのフロントは、きのうの初心者ぽい若い女性と、ちゃんとした感じのおじさん。
 おじさんが受付したけど、お金はやっぱり先払いだった。
 女の人、やっぱり間違ってたんじゃん。
 ダメだよ。
 見習い?
 
 きょうはシングルがいっぱいだそうで、ツインの部屋にシングルの料金で泊まれた。
 ラッキー!
 きのうよりさらに広い部屋で、べーグルを食べながら、阪神戦が見れた。
 楽しい。

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