『5月2日、記念すべき第1回目』
朝6時に起きて、親に駅まで送ってもらう。
やっぱり朝早く出発しないと気分が出ない。
この時の気分は、別にただ電車に乗って散歩に行くって感じだった。
これをこの後も続けようなんて、考えてなかったし。
一泊二日の予定だったので、前日はデイパックに下着なんか詰めた。
電車の中では「久しぶりの休みだなあ。天気もいいし、ああやれやれ」という感じ。
『白石駅スタート』
宮城県白石駅着。
ここからスタート。
なぜ白石なのか。
なぜ、自宅からじゃないのか。
それはつまり、太平洋側を歩きたかったため。
日本海側、なんか寂しい印象があって。太平洋側の方が、暖かいんじゃないかな、とか。
朝から何も食べてないので、なんか食べようかな、と一瞬思案。
ちょうど、立ち食いそばののれんが目に入る。
駅で立ち食いそばでも、と考える。
「しかし待てよ」と思う。
駅そばって、そばとは言いながらそば粉なんてほとんど使ってないはず。
そしてまた、天ぷらは油だらけ。
最近、年なもんで、下手な物を食べると胃がもたれてしょうがない。
したがって、やっぱりやめとこうと決断。
駅前に出ると、天気はいいし、ホントに日本一周に出発するような気分になる。
しかし「そんなわけないよ」と、自分で笑ってしまう。
駅前のバス乗り場のベンチに腰掛けて、日焼け止めを塗る。
山に頻繁に行くようになってから、日焼けがひどくて、日差しが強い日は
日焼け止めが必須。
そうしないと、限りなく顔が痛くなる。
目の前を、女子高生が変な顔をして通り過ぎていった。
ほっといてくれ。
持って行った東北地方の道路地図を見るが、道がわからない。
国道113号を通って角田市に行くつもりなんだけど、駅から国道までの道がわからない。
駅前に地図が無い。
市役所まで行くとわかるかと思い、なんとなく位置を知っている市役所を目指す。
『コンビニ・サンドはまずい』
途中、コンビニでサンドイッチを購入。
まずい。
コンビニのサンドイッチはまずいよ。
ふにゃふにゃのパンに、ごく薄のハムとレタスとごく薄のトマト。
おにぎりも、コンビニのはおいしくないが、このサンドイッチは格別ひどい。。
市役所に着いて、入口の前にある看板方式の地図を見た。
国道113号はまた駅の方向に戻らないといけないんだった。
まいった。
なんだよ。
せっかく市役所まで来たのに。
しょうがないので、来た道をまた戻る。
『国道113号。地味な国道』
少し迷って、ようやく国道を発見。
地味な道。
うらぶれた裏道の印象。駄菓子屋とか、営業しているのかいないのかわかんないような個人商店の電気店なんかがある。
しかも、すべてがほこりを被っている感じ。
逆に懐かしいような気分もすることはするが。
しかし、少し歩くと郊外に出て、やっと道も広々。
暑いのでトレーナーを脱いで、Tシャツになる。
気温30度以上に上がりそうな日差し。
結構広い道なのに、車の通りも少なく、人家もほとんど無いので、歩いている人は皆無。
周りは、田んぼばっかり。
人が見ていないので、デイパックから帽子を取り出して被る。
街中で帽子、しかもまわりにグルッとつばのある帽子なんか被ってると、どう見ても変な人だもの。
帽子無いと日焼けがひどくて。
あとは、もうひたすら歩く。
田んぼばっかり。
道路は良い。
トラックは、まあまあ通る。
遠くに農家と思われる家が、ポツポツと見える。
田植えしている人なんかもいる。
家の中でテレビを見ている人と目が合う。
変な人がいると思われただろうか?
『道端で休憩』
途中、道端の、上面に十字の切込みがあるコンクリートの短い柱(?)に腰掛けて、地図を確認する。
同時に、靴下を脱いで足の裏をマッサージする。
1時間置きに足裏をマッサージすると、マメができないと聞いたため。
しかし、あとでわかるんだけど、別にマッサージなんかしなくても、まめはできない。体質か? 長い日数を歩かないせいか?
履き慣れた靴だったせいか?
ナイキのランニングシューズだったんだけど。
この休憩10分以外、6時間ほど、ずーっと歩き続ける。
しんどかった。
休めそうな場所が全然無い。
ベンチとかさ、公園とかさ、なんも無いのよ。
だって、道路にいきなり坐って休むのは、ちょっとなあ。
まあ、慣れてからはそんなことも平気になったけど、最初の頃は人目が目が気になったのである。
しかし、これものちのちわかるが、休まないとダメ。
6時間も続けて歩くと、精神的に良くない。詰まらない気分になる。
この時も、もう嫌になってしまって。
途中、コンビニでおにぎり買ったけど、休憩しないから食べるきっかけが無い。
やっぱり、今考えても、第1回目はうまくいってない。
結局、角田市の中華料理店でようやく休むんだよなあ。
『中華料理店で昼食』
角田市も小さいから、あんまり店とか無い。
ようやく、この店が見つかったくらい。
で、野菜炒めランチを頼んだ。
肉野菜炒めというのもあったんだけど、もう年のせいで、肉あんまり食べたくない。
昔はやっぱり肉好きだったけど。
年齢ってすごいよなあ。
今はもう、全然肉なんて食べたくない。
それどころか、外食自体したくない気分。
うちで豆腐とか食べるのが最高!
年って、とるもんだよなあ。
この野菜炒め、ちょっとおもしろい。
野菜炒めといっても、普通は各種野菜のほかに、少し肉入ってるじゃないですか。
薄い小さい肉が少量。
この店の違う。
純粋な野菜炒めなのである。
そしてその真ん中に、7センチ×7センチくらいのしかも厚手の肉が1個乗っかっているのである。
こんな野菜炒めってある?
「肉、久しぶりに食ったなあ」とか思いながら食べたよ。
まあまあ、おいしかった。
この時点でかなり疲れてたな。6時間くらい歩いてたし。
すべてにおいて、つまり長時間歩くことも、知らない町を歩くことも、慣れてない
せいもあったと思う。休憩もとってなかったし。
疲れてはいたけど、でもまた歩くしかない。
『仙台へ向けて再びスタート』
というわけで、「ちょっとしんどいなあ」と思いながら、また歩き始めた。
仙台の方へ行こうと思った。
道いいんだよなあ。
新らしい道路らしくて、自分が持っていった20年前の道路地図には載っていない。
新しい地図が必要だなと思った。
歩道もすごい広い。
でも、地図に載ってないので、どの辺歩いているのか今ひとつわからないのが、ちょっと不安。
『墓地の隣で休憩』
途中、足が痛くなって休憩。
墓地の脇。
広い墓地に隣接する歩道が、一段と広くなっていて、しかもベンチが着いていた。
このベンチは、歩道上に丸い花壇があって、この花壇を囲むように木のベンチが
付設されるという斬新(かな?)な形になっている。たぶん墓地に来た人がやすめるように、
という意味もあると思う。
ベンチの形はどうでもいいんだけど、休憩するのには便利。
足が痛いというのは、歩いているうちに足がうっ血したせいか大きくなって、
つま先がスニーカーにぶつかるせい。
親指の爪が痛いのなんの。
「長時間歩く時は、大き目のスニーカーが必要だ」と、痛感した。
でも今回は仕方がないので、しばし靴を脱いで休憩。
日焼け止めも塗りなおした。
裸足になって日焼け止めを塗るおっさんを、不審気に見ながら、自転車の女性が
通り過ぎていった。
何者だと思っただろうか。
変人にしか見えないよな。
もう午後2時過ぎてたと思うけど、そろそろリタイアしたくなった。
でも、近くに駅があるわけでも、バス停があるわけでもないので、リタイアも
不可能な情況。
また、歩くしかないわけで。
これがまた地図に載ってない道なんで、迷ったりして、ますます疲れた。
午後3時頃になって、リタイアを決意。
『バスに乗る』
気力が無くなっていたし、脚は痛いし、つま先も痛い。
こりゃ、もう無理って感じ。
と思ったら、ちょうど良くバス停がある。
ごくごく小さな食料品店の前。
時刻表を見ると、2時間に1本くらいしかないバスが、ちょうど
来るところだった。
大河原駅行きとのこと。
もう、バスの行き先なんかどうでもいいから、とにかく坐りたかった。
ホテルで休みたかった。
「思いつきで変なこと始めたけど、こりゃしんどい」と思った。
また「世の中には日本一周を実行している人が何人もいるけど、ホントすげえなあ、というか、こんなつらいことやってるなんてアホなんちゃうか」と考える。
でも、たまにバスに乗るのもおもしろい。
客は何人乗っていたかというと、ひとり。
つまり、わたくししかいなかった。
バスも交通手段として厳しい状態だな、と思った。
乗っている人間にとってはいいけど。
窓から眺める田舎の風景は、結構良かったな。
でも、短時間の乗車にしては料金が高い。
ひとりしか乗ってないくらいだから、仕方ないか。
駅前は、大河原町という小さな町の駅にしてはにぎわっている感じ。
『仙台にて。脚痛し』
結局、仙台のホテルに泊まるんだけど、気分暗かったなあ。
脚が痛いのなんの。
脚、曲がらないんだもの。
歩くのもやっとの状態。
脚が棒になるって、このことかと思った。
ホテルの近くのコンビニに行くのさえつらかったあ。
もうね「二度とこんなバカなことはやめよう」と思った。
「40にもなって、一体何やってるのか」と。
絶対やらん、とホテルの部屋でコーラ飲みながら誓ったんである。