14.なぜセックスで射精しないの?
射精は、睾丸《こうがん》でつくられた精子が精液といっしょに瞬間に体外へ射出される現象をいいます。そのメカニズムは、神経を介しておこる脊髄反射によっておこります。
もう少しくわしく説明しますと、性器に加えられた刺激が神経をとおって陰茎から脊髄に存在している射精中枢に伝わり、その興奮が最高に達すると反射がおこって、再び神経を介して性器に伝わり、精液を排出します。これが射精反射です。大切なことは、この射精反射は脳(大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部、脳幹など)によってコントロールされているということです。
女性の膣挿入という性行為では射精しませんが、別の状況では射精がおこるということであれば、前述の射精メカニズムはこわれていません。もしこわれていればどんな状況でも射精できませんので、射精に関与する神経系や性器系は健全であることを示しています。
それならば、なぜ状況によって射精がおこったりおこらなかったりするのかという疑問が生じてくることでしょう。
それは、ある状況では射精中枢の興奮が高まるのに、ある状況では興奮が高まっていかないという差なのです。別の見方をすれば、性的興奮を高めさえすれば、必ず射精反射がおこるということを覚えておいてください。
射精中枢への興奮を高めるには、前述のメカニズムから2通りのことが考えられます。
一つは性器からの刺激を強めること、もう一つは脳からのコントロールを弱めることです。
前者については、性器に加えられた刺激による性的興奮の程度はマスターベーションのときとセックスのときとでは違っています。そして、マスターベーションの刺激が脳に記憶されており、セックスの刺激が別のものとしてとらえられてしまいます。
したがって、女性とのセックスでは当初、射精中枢興奮の高まりが弱いことがありますが、お互いに慣れてくると解消されるのがふつうです。それまでは、女性への膣挿入するさいには、お互いの性器を愛撫しあって性的興奮を高めておくことをおすすめします。
後者については、脳から脊髄の射精中枢へのコントロールを排除することです。不安・緊張・あせりといった気持ちは、自分では気づかなくても射精反射を抑制します。ですから、今日も射精しないのではないかなどと考えながらセックスしますと、脳からマイナスの信号が伝わって射精中枢の興奮が高まっていきません。何も考えずにセックスを楽しむ気持ちになってください。
以上をまとめますと、あなたは射精を司る機能が悪いのではありません。射精中枢の興奮を高める工夫として、性器からの刺激を強めること、同時に快感を抑制するような気持ちから解放されることが、問題の解決につながります。
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