17.B型肝炎
[病原体]
B型肝炎ウイルス
ヘパドゥナウィルス
[感染経路]
性交、輸血、B型肝炎ウイルスは感染者の血液や体液に出現する。これが性行為によって粘膜に接触、あるいは医療行為によって傷口から侵入すると感染する。
[症状]
免疫能が正常な成人に感染した場合、一過性のウィルス感染がおこる。しかし宿主の免疫応答の結果、最終的にウィルスは排除される。1〜3ヶ月の潜伏期を経て発病する。体のだるさ、疲れ、不眠症、食欲不振、吐き気、微熱や下痢をおこす。肝臓周辺に鈍い痛みを感じる。尿が赤茶色っぽくなり、目や肌、粘膜などに黄疸が出始める。症状が進むと、肝硬変や肝臓がんを併発することもあるので要注意。重症例では、肝臓の機能不全により生命に危険が及ぶ。 新生児期に感染した場合、宿主はウィルスを排除できず、ウィルスは肝細胞で増殖し続ける。感染者は長期間にわたって、ウィルスを排出しつづけ、肝機能障害が増悪・軽快を繰り返す。この場合、肝硬変、肝癌になる可能性が高い。
[治療]
薬物療法、安静療法、食事療法の3つが柱となる。薬物療法といっても、特効薬はなく、栄養素の補給や肝細胞の働きを助ける薬が使われる。食欲が出るまでは点滴で栄養を補給する。
また、肝臓に充分な血液を流すためには横たわっているのが一番。黄疸が出てから1週間は安静を心掛けること。エネルギー、高たんぱく、高ビタミンの食事を取るようにすること。特異的な治療法はないが、多くの場合、2ヶ月前後で自然治癒する。
[その他]
肝炎にはB型肝炎の他に、A型肝炎、C型肝炎などがある。B型肝炎のウィルスは、ヒトとチンパンジーのみに感染し、感染者の血液、唾液、乳汁などに出現する。性行為による感染では、男性同性愛者、乱交などは特に危険。
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