陰嚢
陰嚢は、俗に玉袋と呼ばれる部分で睾丸・副睾丸、および精管の一部を包んでいる器官で、睾丸を保護する役割を持っています。
睾丸が、精子をつくるときの温度は、体温よりも約3度低い状態が良いとされています。保温効果の高い脂肪層があると、精子をつくる妨げになるので、陰嚢には、皮下脂肪がついていません。また陰嚢の皮膚が、からだの他の部分に比べて濃い色をしているのは、メラニンという色素をたくさん貯えているからです。
紫外線は、遺伝子に突然変異をおこさせる強い力を持っていますが、睾丸が紫外線にさらされたら、睾丸でつくられる精子の遺伝子は、突然変異をおこし、異常な子どもが生まれる原因となってしまいかねません。 陰嚢のメラニン色素は、こんな悪影響をおよぼす紫外線を吸収し、睾丸を守ってくれているのです。
陰嚢には、たくさんの汗腺がありますが、これは実にすばらしい冷却装置としての役割を果たしているのです。陰嚢の表面には、数多くのヒダがあり、これが放熱の役目をして、冷却効果を高めています。そればかりか、陰嚢のヒダは、伸びたり縮んだりすることもできるのです。
 つまり、ふだんは体熱が伝わりにくいようにヒダが伸びて、睾丸はダラリとぶらさがっており、冷えすぎたときは、ヒダが自動的に縮んで睾丸を引き上げ、腹部に密着させて、体熱で温めるのです。
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