TOPSY TIMES 173・174・184号より 

1 ハタハタが世界を征服した日

ハタハタを食べなくなって(食べられなくなって)、どの位たったんだろう?
昔は ブリコ(ハタハタの卵で ボール状になっていた)を がりがりと食べた様な気がする。
うろこがないので食べ易く、頭をとれば簡単に煮たり焼いたりしたものだが・・・

乱獲で 漁獲高が激減してほとんどとれなくなった年もあった。
そのため 3年ほど漁獲をやめ禁漁にして 回復を待って 少しずつ量が出て来たようだ。
そんな中 山形県鶴岡市の由良港を4年振りに訪問した。
ここのセリは珍しく夜 行われる。



なんでかな〜〜〜と聞くと 浜のあばがいるからである。
浜のあばとは リヤカーなどに積んで売り歩く人の事で、
ダンシングクイーンのアバとは違いますからね(当たり前!)。
彼女らは 朝早く 売り地に向うためには 朝が早くなくてはならない。
そのため 船の帰港を夜にして セリもすぐに行っている。

この夜は 鯛にハタハタに鮭 そして鮫などがあがっておりました。
星鮫は ぬた和えや酢みそなど生でも美味しいとの事。

そんな中で 独特の口調でセリが行われたり、入札など夜の10時位まで続く事もあるという。
旦那が漁獲した魚をセリに出して その魚をセリで購入して(このあたりが不思議なところ)
購入したら 次ぎの船が入るまでの間を利用して
その場で明日 販売出来るように下処理・商品化する女性も多い。



そして 翌日朝早く それらの商品を積んで売りに行くのである。
帰ってきたら 翌日のための仕入れと休む暇もない。
彼女達は 元気そのもので 右のおばちゃんなど80歳を越しているそうです。
こんな元気 今の女性にありますか?

毎年12月9日、庄内地方では大黒様のまつり(=大黒様のお歳夜)が行われます。
これって 大黒様の年越しの夜なんですね。
えびす様は3日と5日で 12日は山の神 17日は観音様のお歳夜と
いろいろな神様の年越しの夜が続くそうです。
この大黒様のお歳夜に、神棚にハタハタの田楽が供えられるそうです。
からだの模様が富士山に似ていることからおめでたい魚とされ、豆料理などとともに田楽にして、
お歳夜に供える習わしで冬の庄内の風物詩となっています。
古くからの習慣は、季節感と地域性の伝えるものとして 残していきたい行事ですね。
だから この前の日には 荘内地方の家庭の食卓は 
もうハタハタが「今夜は 私が主役!」と大きな顔をしております。



17日の観音様のお歳夜には 画像の様なお菓子=切さんしょと言うものが
町のお菓子屋さんで売り出され 縁起物として買い求められる。
イメージ的には細いゆべしに山椒の香味が付いてもので
短い期間だけ販売される鶴岡の名物菓子です。
鳥海山の雪が 下界にも降りてくる頃 今度は寒だらが美味しくなる季節です。
自然と歴史の織りなす雪の降る町 城下町鶴岡を 冬に訪ねてみませんか?

<鳥海 次郎記>


2 知られていないシリーズ第20弾
  地元の人も知らないいつも売り切れの団子

母から寒河江の「さとう屋」の団子を買ってくるように頼まれた 場所はわからないとの事。
そこで寒河江市より通勤する会社の同僚3名に聞いてみるが、誰も知らない。
そんな事ないだろう いつも売り切れるほど美味しい団子だと評判なんだよと聞いてもわからない。
それでは 寒河江市に行って調べるしかないな〜と行ってみて、
その辺りの人に聞くと 確かにあった しかし売り切れであった。
昼前には売り切れになるとの事。

それではと 日を改めて11時頃行ってみたが、また売り切れであった。
次には10時に行くとようやく 手に入れる事が出来た。



そのだんごというよりも 餅に近く、醤油味の極シンプルな味の餅であった。
実際 餅米を杵でつき、竹串に刺して炭火で焼き、販売する時は長い竹串から短い竹串に
移し替えて販売するという本当に手作りだんご。
100年前の初代がおしんさんという名前の方が始め、「おしんだんご」と称している。
味もくどくなく そしてシンプルな甘味のない醤油味単品。
老夫婦二人で作るだんごであり 数量限定で午前中に品切れとなっても仕方ないだんごである。

<山本 一義記>


1 山形は初夏に限る!

  自然がみんな芽生えて、緑濃く

北国は春から初夏が一番美しい。
梅も桜も桃もみんな一緒に花開いて後の新緑から濃緑に変わる5月後半から6月は、
木々が喜ぶように、人々も彼等のざわめきに誘われて、野山をさまよう。
あるものは山に山菜を求めて、またあるものは魚を追いかけて、川の奥にと足を伸ばす。
この頃になると、蛇嫌いの多い編集部員は山にも川にも入れず、たださまようばかり。
そんな中で ちょっと素敵な山形のポイントを発見しました。

ここは山形と新潟の県境の町小国町の入り口付近。
ここ小国町は、
山形市と新潟市の中間点にあり東京23区よりも広く、
町のほとんどが山 また白い森の国と言われるくらい
冬の豪雪地帯です。

昭和38年の38豪雪の時には、
雪に閉ざされて1ケ月以上陸の孤島になったほどです。

北に朝日連峰・南は飯豊連峰と豊かな自然そのものの町。
だからこんな風景はあちこちの広がっています。
和む風景です。

次は農水省の「日本の棚田百選」に認定された山辺町大蕨地区を訪れてみる。

ん〜〜〜 どうって事ない あちこちにありそうな風景。
どうも四角く整地された状態が今いちでした。

その近くでこんな小さな棚田を発見。
やはり棚田はこんな風に自然そのものの地形を利用している方が美しい。
曲線の美しさといってもいいだろう
これぞ自然の美そのもの。
こんなたんぼも 農家の高齢化と米価格の値下がりで
もうすぐ消えてしまう運命にあるだろうな。
だからといって荒れ地になっていいんだろうか。
こういう風景って 誰が守るのだろう???

風景を求めて車を走れせていると、道脇の草むらからなにやら鳥が走っていた。

車をゆっくりと走らせ
うずらかなと思い、そっと追いかけてみる。
もっと品のある姿 まだ小さな子供もいた うずらじゃない。
きじかなと思いつつ、取りあえず画像に納める。
家に帰ってインターネットで鳥類図鑑で調べてみると
これは「雷鳥のメス」ではないか???

雷鳥といえば冬雪の色に同化して真っ白になる
絶滅の危機に貧している鳥が、
この山形の草薮にいるのだろうか???

図鑑によるとメス雷鳥は子育て期間 空を飛ばずに子育てに専心するといい、
初夏の羽の色 胸の白さ 首の長さはそっくりであり、間違いのないものだろう。

やはり山形は観光地を歩くよりも、名も知れぬ山や川 そして野を駆け巡るに限る。
こういう環境って 誰が守るのだろう???

そしてお腹が空いたら、こんな農家レストランもあります。
小国町の手前の飯豊町に農家レストランがオープンしたという。
山形には地元の農家の方々が開く漬け物や餅 お蕎麦のお店といったものはあったが、
今度は地元農家の女性10人で行うイタリアンレストラン 「エルベ」に行ってみる。

何で飯豊町でイタリアン?という疑問に対しては、
廻りのお店には影響は与えないし、
地元で採れた野菜やハーブにはイタリアンがあうからとの事。
町が農家女性の感性と行動力を生かして農産物の消費拡大や
農村の活性化に結びつけたいと,国の補助を受けて建設したもの。

「ミヤ・マンマ」(イタリア語で私の愛しいお母さんという意味)というグループで,
調理から経営まですべてを切り盛りする。

メニューは,地元で採れた野菜やハーブを使った
本格石焼きピザやパスタ,
手作りアイスクリーム等で若い女性だけじゃなく、
近隣にないお店だけに広く客を集めているようだ。
土曜日曜には行列ができるとか。

確かにピザはカリっとして美味しいし
パスタも野菜の味が生きている。
もう少しチーズにこだわって欲しい面はあるが、
その分は店内の明るい雰囲気と外の緑が
スパイスとして加わってカバーしているかな。

木目を生かした店内は、若い女性一人でも自然な雰囲気を醸し出している。

       山形県西置賜郡飯豊町萩生3549-1 農家レストラン「エルベ」 0238-86-2828

こんな名もない土地を駆け巡る楽しみには高速道路なんて必要がない。
気が向いた時に車を止めて一服する気持ちの良さは何ごとにも代えがたい喜びである。
高速道路なんて税金の無駄 その分は環境保全に使って欲しいものです。

<藤野 樹海記>


   * ホームページへ。

             

この「TOPSY TIMES」にご意見・感想がございましたら
Eメール
でいただければ 幸いです。