TOPSY TIMES 154/153号より
1  だんごの木
  こんな習慣って なくなるんだろうな

 二月十六日は 旧暦の元旦。
各地には まだまだ伝統の習慣って 残っていますね。
特に 正月や彼岸といった時に多いのは まだまだ暦と生活が繋がっているからではないでしょうか?
自分の小さい頃と比べて 見かけなくなった(しなくなった)ものってなんだろう?

冬至での柚子湯は残っているのに 端午の節句での菖蒲湯は 消えつつある。
七夕飾りだって 幼稚園や商店街の催しに変質してしまった。
月見をしながらの家族団らんなんて これこそ西岸良平の漫画の中だけの世界になってしまったし
そのうち 帰省なんて言葉も消えてしまうのではないだろうか?

しかしながら 昔はそれほどではなかった七五三参りや七草などは
商業主義と結びつき 以前よりも活発になってきたものもある。

そんな中 我が地方では まだまだ昔の生活習慣は残っているものも多い。
たとえば 一月十五日の小正月。
あとの正月と言われ 大晦日のごちそうと同じものを作って食べられている。
翌16日は 正月忙しかった女の人の休み日で わが地方では「子持ちの年取り」などと言っていた。

そして だんごの木(みずき)に小さく丸めて餅をさしたり
ふなせんべい(餅米粉で作った 鯛や打出のこづち 俵などの形をした焼き物)を下げて、茶の間に飾ったりもする。
だから 今でもスーパーで売られている。

このだんごの木は、20日まで飾られている。そして この日を二十日正月と呼ばれている。
この二十日で正月行事も一段落し 正月気分も終わりになる。

こんな習慣は 全国各地に残っているものであろうし 子孫に受け継ぐ価値のあるものではなかろうか?

わが家では 今年もまた 市松人形の雛飾り(ただ人形をならべただけだが)が出てきました。
いわゆるメーカーの雛人形にはない親しみが醸し出されております。

カタカナの習慣だけが継続され 日本古来のものは消えてしまう運命にあるのは忍びない。
何とか 身近な習慣ぐらいは 次の世代に残していきたい。


<藤野 樹海記>


2  熟女の美味しさ!
  枯れた味にぞっこん

 私は 新鮮でピチピチした若い娘が好きでした。
まさか ルーズソックスを履いた高校生とは言わないものの
若くて新鮮な女性を好むのが普通でしょう。

ところが 今年 ある人から紹介されてからは もう若さなんてダメ。
枯れかけた熟女の味に魅せられてしまいました。

彼女の名前は ゆきなと申します。
盛りが過ぎて「とうが立つ」と言われる時期の美味しさは 熟女のお・い・し・さ。
これを一度味わってしまうともう忘れられません。

春の新芽の季節の育ったまだ芽生えの中高生
夏のギラギラ輝く太陽もと 自由の羽を伸ばした遊び歩いた女子大生。
秋の枯れ葉の囁きに耳を傾ける余裕も出てきたOL

そんな世代よりも 冬の雪の中 昔の思い出に経験というスパイスを効かせた
枯れた熟女の味に 逆に新鮮さを感じてしまう。

手練手管にたけたベテランで 一筋では行かなく 時として翻弄される事もあります。
でもその熟女の味は 囲われ者の味と言うべきでしょうか?

そのゆきなとは、米沢名産の冬の野菜なのです。
そして 枯れた味が美味しいのです。

野沢菜とタイサイが自然交雑して出来た長岡菜の生まれ変わり。
雪菜は写真の様に 雪の中で生育します。

ただし 雪菜はただ種を蒔けば 雪菜になるのではありません。
畑で育った長岡菜を収穫して、土とわらで畑に囲っておき
そのうちに 雪が降り始め まわりは雪で覆われてしまいます。
その中では わずかな光と自らの葉を栄養源に 長岡菜が雪菜に変わるのです。

凍てつく冬の静寂の中 深い雪の下で 長岡菜の中心部が その生命を
新たな生命としての「とう(花茎)」に変え 20CMほど伸びてくるのです。
この美しい純白になった長岡菜の生まれ変わりが 雪菜なのです。

収穫したばかりでは 美味しくありません。
わらで囲って40日ほどで雪菜に生まれ変わったのが 美味しいのです。

クセがないため サラダにしてもおいしく、軽く湯通しして 塩だけで浅漬けにした
独特の辛味が味わえる「雪菜のふすべ漬」を ぜひ食して下さい。

また このふすべ漬けを 凍みコンニャクや椎茸・油揚げ・打ち豆などと
一緒に和えた冷や汁は 米沢独特の和風サラダといっても過言ではありません。

なお 今回の「サライ」新年特大号にも この冷や汁が掲載されております。

ついでに  米沢で見かけたちょっと変わったもの二つ。
一つ目はタバコ屋さんの看板です。


   もタバコもヤメナイで
    自然に生きるソレが良い

この看板の内容には参りました。
堂々と喫煙と飲酒のすすめを掲示しているところが最高ですね。
これがアメリカだったら 消費者団体からクレームがくるのではないだろうか?

このタバコ屋さんに 座布団一枚!

もう一つは 焼きカツです。

市内中央部にある「満月」という食堂のメニューには
聞いたことのない「焼きカツ」という文字がありました。

これは何かと聞いたところ 字の通りカツを焼いたものとのこと。
普通ならパン粉をつけて油で揚げられるトンカツが
ここでは フライパンで焼いたものとの事。

焼きカツの特徴は 衣が薄くて 肉が軟らかく焼けているかがポイント。
衣がはがれてグチュグチュになり易いだろうし 技術が必要な料理ではないだろうか?
ポークソテーとも違う「焼きかつ」はいかがでしょうか。

   満月 米沢市中央1-13-23  TEL 0238-21-4488


<藤野 樹海記>


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