TOPSY TIMES 142・138・136号より 

1 知られていないシリーズ第13弾
  飛島のいかの塩辛と置賜のりんご漬け

 山形県酒田市の港から 40キロ離れた日本海に浮かぶ飛島。
ここは いか・たらの海産物で有名であり 特に今の時期は 寒だらが美味しい。
そんな中 もっと手軽に飛島の味を楽しめるものを紹介いたします。
それは「いかの塩辛」です。

私は 酒田に行くと必ず買ってくるものです。
何だ 塩辛かと思うかもしれませんが 普段  良く目にする塩辛とは違います。
ピンク色してませんし イカ墨も使った黒造りでもありません。
飛び抜けて塩辛くビール瓶に入った商品なんです。
(この記事を書くため インターネットで飛島の塩辛を調べましたが
ほとんど 情報がありません。)それほど 知られていない商品なのです。

 作り方は イカを開いて 内蔵を取り 一枚一枚塩にまぶして 重石をのせて保存する。
一方 腑(肝臓)は別の樽入れて塩につけ込んで発酵させる。
その上澄み液(醤油状の魚醤)が 塩辛の漬け汁の素となる。
半年位かけてつけ込んだイカは、普通の塩辛の具の様に
短冊状の姿ではなく かなり縮れた そして味のあるいかへと変身している。

そのイカを塩抜きして 細かく刻み 漬け汁に入れて
また 重石をのせて保存するという手間・暇かかった塩辛です。

これがビール瓶に液と一緒に入っているのですから
容器から取り出すのが 大変です。
傾けると液だけ出てしまい 具はそのまま瓶の中。
液がなくなってしまうと 具は変質してしまう。
取り出し方は ハリガネの様なもので 瓶の口から具を引き上げる。
まるで 釣りをする様に。

そして 液は 秋田のしょっつると同じようなものであり
調味液として 煮物などに使えば 一石二鳥。
塩辛そのものは 枯れた塩辛さであり 大根おろしとともに食べれば グーである。
こんな塩辛 食べてみたいとおもいませんか?

連絡先 山形県漁業協同組合 0234-24-9616
ちなみに 酒田には 魚醤ラーメンというものもあります。

続いては 内陸は南部 置賜地方のりんご漬けです。

山形は「西の京都 東の山形」と言われる位の漬け物の美味しい地です。
それに加え 柑橘系以外なら なんでもあるくだもの王国でもあります。

そんな中で 山形県南部 置賜地方で 冬の寒い時期
昔から食されているりんご漬けを ご存じでしょうか?

山形は 全国第3位のりんご生産地であり 県内各地で作られております。
でも 他の地区では見かけた事がないほどの地域商品です。
りんごの漬け物というと 何となく塩辛いという感じがするでしょうが
実際は 漬け物というよりサラダ感覚の薄味の食べ物です。

リンゴといっても 今はやりの「ふじ」といった甘いりんごではなく
紅玉や国光といった 昔なつかしい甘酸っぱいリンゴを、
薄味の塩で 収穫とともに二ヶ月つけ込んだものです。

だから リンゴの酸味とほのかな塩味に仕上がっており
お茶とともに シャキシャキとした食感もあり
果物・お菓子代わりに お茶の友として 食するのが最適。

また 皮こと芯まで食べられますので 繊維質はたっぷり。
写真の様に 輪切りにすれば たべやすい。
漬け物業者がつくるのではなく 果樹農家の手作り商品そのもので
素朴なおいしさです。

連絡先 0238-47-2851 五十嵐さんの家で 作っております。


2 知られていないシリーズ第12弾
  山形の地ワイン 今年のヌーヴォーは美味しいぞ!

TOPSY138号に取り上げられた南陽市赤湯の「大浦ワイン」

予想とは違って今年の夏は 暑くなり 葡萄にとって最適な季節となりそうです。
7月中旬以降は 特に暑く 甘さののった葡萄が沢山 実りました。
そんな中 今回は県内有数の葡萄の産地として 特に有名な南陽市の地ワイン工場に取材に行きました。

 ここ南陽市は 隣の高畠町での生産を含めると 県内の約4割近くの葡萄を産出する産地であるとともに 地ワイン工場が 県内11ケ所のうち4ヶ所もあるワインの産地でもあります。
その中で 今回は 戦前より醸造している「(有)大浦ぶどう酒」を訪ねてみました。

丁度 デラウェアの収穫期であり 今年のヌーヴォー造りの真っ最中で
  生食にしても美味しそうなデラウェアがどんどん運び込まれていました。
聞くところによると 契約農家に栽培を依頼している。

  その土壌には 葡萄を絞る時にでる葡萄の皮や枝を、堆肥代わりに使っているとの事。
だから 園地においても発酵が進み 土壌に対しても非常に有効であろう。

ドイツ製のプレス機で葡萄を絞り
  そのまま サーマルタンクに低温貯蔵し、
2〜3日たつと炭酸ガスが出始め
葡萄液が発酵し ワインを形成しはじめる。

このところ健康志向で人気急上昇の赤ワインは
  また作り方が違っており、軸を外した葡萄を 粒毎タンクに入れて
  発酵させてから絞るために 皮の裏側にある色素に含まれるポリフェノール類がたくさん含まれ、
健康に良いという事で 非常に伸びている。
また ロゼは 白葡萄6対黒葡萄4の原料で絞ったものである。

新鮮な葡萄を素早く処理し
  1ケ月ほど寝かせて発酵させてできあがったワインは、
ヌーヴォーとして 女学生の様に若々しく
  キャピキャピしたフレッシュさが命のワインである事を、
実感として認識しました。

そんな製造工程を見ながら 毎年飲んでいるヌーヴォーのフレッシュさを 実感として理解したし 今年も 10月の販売を待ちわび ヌーヴォーを口にする楽しみが待ち遠しい。
 そんなおすすめの一品が 「大浦ぶどう酒」の山形ワイン ヌーヴォーです。

        


3 気分はスパニッシュ!
  山形のラストロ 

TOPSY136号に取り上げられたスペイン料理の「ラストロ」

 スペインと言えば フラメンコ。
 フラメンコと言えば ギター。
 ギターと言えば イエペス。

そのイエペスなき後の世界的なギタリスト ホセ・ルイス・ゴンサレスに師事し
スペインに住む事十数年の人のお店が、山形にある。
山形駅前のすずらん街の「ラストロ」である。

私自身 逢坂剛のスペインを題材にした小説が好きであり
かつ スペインに行った時 お店で酒を飲みながら
  タバコを吸っていて 灰皿は?とキョロキョロ探していたら
隣のおやじがジェスチャーで タバコは床にすてろ
という風な事を表現し その大らかさにすっかり気にいってしまった。
(帰国後すぐ スペイン語会話のテープを買ったものだが・・・)

友人がマスターの知り合いという事で連れられて行ったものの
あいにく マスターはスペインの店に行っているとの事で
会うことが出来なかったが
可愛い奥様とお話する事ができた。

ここはスペイン南東部アリカンテ地方の料理であり
地方によって材料は違っているとの事。
私自身 スペイン料理では苦い経験がある。
それは わが家の料理のバイブル「クッキングパパ」を見て
スペインオムレツを作ろうとなった。
もちろん シェフは わが輩である。

しかしながら その結果はもう二度と作らないで欲しいという史上最低の評価だった。

その「スペインオムレツ」もあるし
トマトやタマネギやセロリなどを使った夏に最適な冷たいスープ「ガスパッチョ」もある。
そして 最もなじみやすいのがやはり 「パエリャ」だろう。

ここは アリカンテ地方風という事で
ムール貝・エビ・イカや鶏手羽元などや野菜とオリーブオイルで炒めたものと
米を加えて鍋で煮上げたものである。

ボリュームもあり 材料も豊富で
日本の炊き込みご飯の味わいとは違った華やかなところが
  ラテン系の美味しさなんだろう。
また ちょっと甘めのスペアリブも美味しかった。

そんな気取った感じではなく、アットホーム的なところであり 家族連れでも仲間同士でも似合う。
店内には当然の事ながら フラメンコやポルトガルのファドが流れ 落ちつけます。
ここも 一度は行ってみる価値のあるお店でしょう。


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