協会ロゴマーク 無落雪屋根普及協会

1 協会運営規約

第1条(名称)
この団体の名称は、無落雪屋根普及協会 という。

2条(目的)
 住宅等の建築において、雪国ならではのハンデキャップを克服する目的の無落雪建築工法を更に普及するとともに、落雪が原因の隣地トラブルを回避するための啓蒙活動を通じて、安全平穏で豊かに生活できることを援助する社会貢献を目的とする。

3条(事業)
この法人は、前条の目的を達成するため次に掲げる活動を行う。
① 無落雪屋根の有効性についての、普及啓蒙活動を行う。
② 隣地との雪トラブル相談窓口を開設し、適切なアドバイスを行う。
③ 建築におけるコストダウンをはかるために、スノーダクト等の改良研究を行う。
④ 行政に対しての雪対策補助、助成の充実を要請・陳情する。
⑤ 講師を招いての施工技術研修と会員相互の交流親睦を行う。

4条(会員) この協会の趣旨に賛同し、次の会費を納めた法人または個人を会員とする。
                                            一部抜粋

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2 屋根に求められる防耐火性能

建築基準法第22条と第63条では屋根に求められる性能は、「不燃材で葺く」という規定になっています。これら条文は複雑な構造になっており、10㎡以内の物置、納屋などは適用除外になっており、法84条の2に該当する開放性を有する自動車車庫なども一定条件のもとに適用除外になっています。

また、法第63条では防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は,火の粉による建築物の火災の発生を防止するために、国交大臣の認定を受けたものにしなければならないとも規定しています。山形県内で、防火地域または準防火地域に指定されている地域は、山形市・上山市・新庄市・米沢市・鶴岡市・酒田市に定められていますが、最近では蔵王みはらしの丘地区も準防火地域に追加指定されました。

ところで、北海道や東北などで使われている現状のスノーダクトは、これらの規定をクリアしているのでしょうか?現在流通しているスノーダクトは、FRP製のもので、難燃材料で製作した難燃性のものですから、建築士仲間からもその仕様が疑問視されています。

 不燃・難燃  
 類似する塩ビ製の雨樋はどうなのかというと、これは屋根材ではなく屋根の付属品(付帯物)で屋根材ではないとの逃げ道を申し出ているようですが、屋根の真ん中に配置した難燃性のスノーダクトは、火の粉による火災の発生を防止する建築部材には当たらないという解釈が正当なのかもしれません。

バックドラフト現象  あるいは、フラッシュオーバーやバックドラフト現象の引き金になるとの指摘を受けることにも成りかねません。
 そこで、当協会では普及しつつある無落雪屋根のさらなる普及拡大を図るために、最新技術を用いた「不燃フェノールFRP」制によるスノーダクトの研究開発に取り組んでまいります。
 併せて、施工コストのダウンをはかる方策として、ノックダウン方式が可能な連結自在方式の新型スノーダクトの研究開発も行ってまいります。


 先進地の北海道札幌市では、建築確認申請の約8割が無落雪屋根によるものだそうで、山形県置賜地方の中堅業者では受注の5~6割が無落雪建築によるとの協会会員の報告もある中で、今後もより多くの方に無落雪住宅の良さを理解していただき、雪による隣地トラブルを防ぎ安全な生活ができるよう目指してまいります。
 
※建築計画上の指定地によりますが、省令準耐火構造の建築物は屋根について防火構造でなければ、認定ならない場合もあるようですから注意が必要です。

3 百年に一度の超豪雨対策について                              Report 菅野 行雄

 住宅における豪雨対策は非常に重要である。報道において先ごろまでは数十年に一度とかいう報道のアナウンスが記憶にあるが、最近では百年に一度という発言が耳に残る。豪雨被害と言っても集落を丸ごと飲み込む広域被害が多くなり、線状降水帯が長時間にわたり上空にとどまったりする影響が言われており対策は喫緊の課題である。合わせて広域とは別に個人住宅における豪雨対応策も非常に重要なことである。

 当社が、最新の無落雪屋根を実施するにあたっては、屋根材全体の降雨を桶に集約し高所からの竪樋で地上まで落とし込み、最終的に排水路まで導水するわけだが、悩みのタネは最大降水量をどれ位みればよいかという点である。気象庁ではアメダスや全国の観測所でのデータを集約して発表しているが、これをクリアすれば良いという解釈では済まなくて、どれくらいキャパを持たせたら良いかということが悩みなのである。

今のところ、日本での一日の最大降水量は和歌山の265mmであるが、これを基にした推測値は50年確率値では250mm、100年確率値では287mmと気象庁は公表している。

住宅を設計する場合、これら数値をどこまで高めれば100%安全になるのかは答えが出ない設問になるのであって、最大限に大きくとる他ないといのが残念ながら現実と言わざる得ない。

そこで、今回当社の新しいハイディング方式の対応策を考えてみた場合、現実的に次の基本的な思考によることにした。

①当社技術の直前方式である「インサイダー無落雪屋根」の排水可能実量を基本とし、これを更に10%相当の飲み込み余力を持たせた設計とする。
②オーバーフローを設置する方策も用いてきたが、それとて無限大に飲み込む容量にはできず、慰みに等しいという考えが出てきていることも事実であるので、最善策として新たに仕切り防災方式を採用することとした。
③つまり、300mmも近いドシャ降りの場合、到底雨樋などでは受け止めることはできないことに鑑みて、これを最小限に抑える「降雨防災界壁」という発想が誕生したのである。
④この原理は簡単に言うと想定外の部分は用意された導水設備というより、建物の用途部分を阻害しない空間を前もって設計上準備して、建物外に排出するという斬新な考え方である。要するに、「未知の化物と争う利益は無い」という自然の摂理に沿う考え方である。

1.新しい「ハイディング方式」は、集合樋(スノーダクトor折板応用樋)は建物本体の外郭に構成することにより、万一にも建物本体に溢水の侵入を回避。
2.竪樋収納スペースとして設計されている門型フレームの箱型長方体は余裕の広巾の設計がしてあり、万一の集合樋の溢れも一気に飲み込みスムーズに階下に誘導してしまう設計。
3.この竪樋収納スペースは、下部(基礎と外壁)の間においてステンレス製の穴あき水切り材料を採用してあり、戸外への溢水排出がスムーズにでき、害虫の侵入対策にも万全である。
4.上記の門型フレームであるが、この一部を構成するいわば軒天にあたる部分の構成は集合樋からの溢水を考慮してケイカル板ではなく、コンクリート窯業板やガルバ鋼板などの部材を採用してある。
                                               2022.6.25 カンノジツム 菅野 行雄