米沢市医師会健康メッセージ   トップページに戻る

   「胃ろう」について

 最近、脳梗塞の後遺症で食べ物を飲み込むことが困難になったり、認知症で

食べる意欲そのものが失われたりして口から食物の摂取が困難になっている人が

増えています。そのようなときに栄養を摂取する方法として、「経腸栄養法」と

「静脈栄養法」の二つがあります。

 「静脈栄養法」は点滴と呼ばれるものですが在宅での管理は困難です。「経腸栄養法」は

胃や腸などの消化管にチューブを通して直接栄養をおくる方法です。栄養の吸収に消化管を

使うので、より生理的な栄養摂取が可能になります。「経腸栄養法」には鼻から胃へチューブを

挿入する「経鼻胃管」と胃に直接チューブを挿入する「胃ろう」があります。

 以前は「経鼻胃管」がほとんどでしたが、自己抜去(自分でチューブを抜いてしまう)や誤嚥性

肺炎(食物が気管内に入ってしまったことから起こる肺炎)の危険性があり、これらの危険が少ない

「胃ろう」が増えています。また以前は「胃ろう」の造設に開腹手術が必要でしたが、現在は胃カメラを

使って行う低侵襲で短時間(約15分)の手術になりました。

 「胃ろう」造設後は病院、施設、家族の皆さんが連携を密にして栄養管理を行うことで、患者さんの

栄養状態を維持向上させ、生活の質を高めることができます。

舟山病院 外科 鬼満圭一

広報よねざわ 平成20年4月15日号掲載