我が家の秋の一日(「まつばら」平成11年号)

 晩秋の午後、タクとケンに背負わせてきたペットボトルから水を注ぎバーナーに火を点ける。とりあえずコンビニのカップしるこを作って暖まることにする。体がほかほかしたところで探検開始だ。
 ここ八幡原緑地公園は樹齢二百年の大木が残る貴重な林である。まず目にとまるのは靴が埋まってしまう程の一面の落ち葉だ。コナラにケヤキ、そしてクヌギ。タクが「ブルドーザー!」と叫びながら両足でガサガサと落ち葉を集め出す。ケンがすぐ後に続く。その後には巨大ブルドーザー(私)がいる。見る見るうちに小山の様になる。すぐにタクがその中に飛び込んで「お風呂!」と言って風呂の演技にのめり込む。さらにどんどん落ち葉を積んでいくと、あっという間にタクの姿が見えなくなってしまった。すると今度は「ドカーン」と言って飛び出す。爆発した!。次にはケンが中に入る。何と仰向けに寝てしまった。私は何をするのか興味津々である。顔のところの葉をタクがていねいにどけてやっている。そうしたら「ねえ、ケンいないよ。ケンは葉っぱになったんだよ。」
ケンはすっかり落ち葉に同化して、落ち葉の視線で真っ青な空を見ている様子だ。こうして落ち葉遊びは延々一時間も続いた。
 そのころ物探しの得意なお母さんは、季節はずれのガマズミの実を見つけていた。四人で手を真っ赤に染めて摘むと小さな鍋に半分集まった。これならみんなで楽しめるくらいのジャムになる。その夜の我が家は甘酸っぱい秋の香りでいっぱいになった。
 季節の変化はものすごく速い。一日として同じということがない。だからいつも休日には外で過ごしたくなる。