1998年7月
ついに捕獲作戦決行の時がきた!めざすはタヌキ3頭キツネ2頭。
慎重にトラップをセッティング。合計12個のトラップは4個ずつ3組に分け、一組は冬の泊まり場だった廃屋の近く、別の一組は「一つ木の丘」と名付けた足跡集中地に、最後の一組はずっと足跡を観察していたグランドゴルフ場に。
夜8時から午前2時まで、2時間おきに見回りを行う。
<第1夜目>
一つ木の丘とグランドゴルフ場でトラップが作動する。トラップはアメリカ製のとらばさみだが調査用なので歯のかわりにゴムのベルトになっている。そのためなのかいとも簡単に足をぬいていく。誤作動でないことは残された足跡と毛、においで明らかである。
トラップを隠すために紙をのせた。その紙をタヌキが噛んで見事にひきぬいていく。
やはり一筋縄ではいかない。本当に捕獲できるのか不安になった第一夜。
<第 3 夜>
ついにその時はきた!
アカマツの先がピッと振れた。日付けもかわろうかという真夜中。三人で見回り始めて六ヶ所目のトラップに、ようやくタヌキの姿を見る。地元の猟師さんに一晩で5〜6頭とれてしまうと言われた捕獲作戦は、すでに三日目を数えていた。
ここからの段取りには自信がある。なぜといって学術捕獲のプロに何度も教わり、ぬいぐるみでシミュレートずみだ。まず、タヌキの首をクイッと踏みつけ・・踏みつけて・・・踏みつけなきゃ!野生の動きは私の足の鈍さをまったく問題にしない。と、O氏が素手でしっぽをつかみにかかる。思わずのびる私の手。ガブリッ「えっ?」ドッと血が流れ落ちる。それでも何とか押さえ付け、ようやく次の段取り。S氏が足に痲酔を打つ。これで数分でグッタリと・・・グッタリと・・・ならないじゃないか!
かくも人の話は当てにはならぬ。翌日の職場では何人もの同僚に心配いただいた。「カマキリに噛まれたそうですね。」(「当てにならぬは人の話」若樹第3号P76)
1998年8月
7月の反省にたって、捕獲のための網(鯉用のたもあみ)を購入。
さらに江戸時代に捕り物で使っていた「さすまた」を自作。
12個のトラップはグランドゴルフ場に集中させた。
<そして迎えた第3夜>
ついにキツネの捕獲に成功!網とさすまたの効果もばっちりで、すばやくスムーズに保定完了。
痲酔も今度はちゃんと効いてくれた。
発信機つきの首輪を装着して
その場で放しました。