雪上トレースは新雪の上についた動物の足跡を追跡してその行動を知ろうとすることです。


 手前右から正面の休息穴に向かって続き,斜面を登っていくタヌキの足跡。残念ながらこのあと林の中に入って追跡不可能に。この穴は夏にキツネが掘ったもので,冬もキツネ臭い尿でマークされている。

 この画面左奥の方向には巣穴がたくさんある。

                            堤(池)の上に横たわる丸太を渡るタヌキの足跡。                                                                                                                                        

              

 何をみつけたのか,タヌキが雪を掘り返している。

                                                                       


 普段足跡の観察ができるのは畑の柔らかい土や湿地,雨あがりの裸地だけです。ですから動物がこの日にここに来た,もしくはこの方向へ向かったということしか分かりません。しかし動物の行動前に雪が積もり行動中や行動後には雪が止んでいるよう日があると,雪上に足跡が点々と続き,トレースすることができます。これによって動物の行動を点でなく線で把握することが可能になります。今年もすでに12/5.6.11の3回,そのチャンスがやってきました。タヌキ,キツネ,ノウサギ,イタチ,ノネズミ,たぶんノイヌ,カイネコ,鳥の足跡が観察できました。

 タヌキがほぼ同じルート(タヌキ道またはうじ道)を同じ方向に移動していることや,堤やナラ林を巡って利用しているらしいことが分かりつつあります。

 キツネと思われる足跡は,夏秋の観察でまさに点であったいくつかのポイントを線で結んでくれました。夏に掘る過程を観察できた例の休息穴に一度入って尿でマークし,巣穴群では3つの穴に立ちよってその内1つに入ってみたり,「南の台」とよんでいる裸地には餌を探してか,もしくは貯蔵でもしているのかよく広い穴を掘る地点があり,そこを経由して斜面を降り,穴に立ちより尿でマーク。ようやく伐開地の道にでました。道の雪が消えていたのでそこでトレースは終わってしまいました。尿はものの本に書いてあるようにラー油をきつくしたような臭いがあり,きっとキツネだと思うのですが,結論はロボットカメラの登場を待つことにします。南の台の穴掘り跡には何度か餌をまいたことがあり,3日に1度くらいで餌がなくなりましたので,そんなペースでパトロールしているのかも知れません。

 相馬山の巣穴群ではトレースしていたキツネの足跡が巣穴に入っており,たびたび人間(私)が覗き込むにもかかわらず巣穴が放棄されていないことを確認しました。来年の春に子育ての様子やファミリーの構成,個体の特徴などを観察し記録するために,今は刺激しないよう心に決め,山主さんにもちょっと声をかけてきました。来春は足繁く通って「人づけ」して観察しようと思っています(これも度を過ぎると動物の暮らしへの影響が心配されますが)。