生活痕跡には足跡,糞,尿跡,食べ残しなどがあり,食肉類では巣穴(出産と育仔用の穴)や休息穴も魅力的です。


 赤土のグラウンドに残ったタヌキの足跡。縦幅より横幅が長く全体に丸く見える。よたよたとジグザグ歩行をして餌を探しているようである。石があるとその周りをうろついてみたりする。

 ネコの足跡より一回り大きく,爪跡がはっきりつく。2頭でのランデブーも多い。

                                                                                             この土手にはいつも食肉類の足跡がついている。明らかにタヌキのものである場合もあるが,キツネがよく目撃される場所であり,キツネ的な特徴をもった足跡も多い。この写真ではトウモロコシが持ち込まれて,食べられている。

 今年新たに作られたキツネの巣穴。この付近では3年前から子育てが観察されている。またウサギの食べ残しや,キツネの屍体も回収された(写真もありますがアップしませんでした)。

 雪上トレースによって現在も使われていることを確認。

                                                                                               


 成島丘陵地内の地形図にのっている道を全て歩いてみることにしました。沢の脇にある石にイタチの糞があったりしましたが,林の奥に行けば行くほど動物の暮らしを知る手がかりは薮の中にかくれ,鳥や虫にばかり注意がむきました。

 そこで聞き取りで好感触をつかんだ相馬山・虚空蔵山と大舟地区伐開地周辺を細かに見て回り,足跡,糞,尿,食べ跡,穴堀跡,巣穴などの生活痕跡を探すことにしました。特に大舟地区伐開地では,周囲に裸地があり,雨の翌日などには足跡がよく見つかりました。何日かにわたって少しずつ穴を拡張していく過程も観察できました(キツネ村での例から夏の休息穴と思われる)し,相馬山の巣穴のある辺りに良く似た地形と雰囲気の場所を見つけ,そこにいくつかの穴を見つけることができました。この二つのフィールドは毎週木曜日と雨の降った翌日の朝に観察を行っています。

 タヌキの足跡は形とジグザグした足取りからわかるのですが,直線的につく足跡がキツネのものなのか,ノイヌのものなのか,はたまた次の餌場(?)へ急ぐタヌキのものなのかは未だに確信をもった区別ができません。近くの家で,飼犬を運動のために放すことがあるなどと聞いて気が遠くなったりしました。と,なると,糞についても同様のことが言える訳で,研究室に冷凍してある糞の落し主が誰かは分析待ちです。有名なタヌキの「ためぐそ」にはどうしたわけか出会っていません。


 冬期の雪上トレースで沢山のタヌキのためぐそ(以後は「ため糞」タメフンと呼ぶことにします)を見つけ,地図上にプロットできました。糞の中味からは冬のタヌキの食性がわかりますし,マーク入りの餌を使って行動圏を推定することも可能です。ちょっとワクワクしています。(3/13)