松山千春「俺の音楽人生」
〜 1981年 1月放送 〜
♪ 虹とともに消えた恋 ♪
♪ 旅立ち ♪
千春・・千 女性アナウンサー・・ア
ア「千春さんにとって唄ってなんなのかしら?」
千「いつでも俺はあのこういう堅苦しい言葉で言っちゃ おかしいんだけど生活のスタンスだと、
そんなふうに思ってますね。みんなが日記を書くように、みんなが なにか今日一日あった事
ちょっと走り書きするように、ただ俺にはそれにメロディーがついてきて、しかもみんなに
聴いてもらいたいって、この気持ちを聴いてもらいたいってそういう気持ちが強いだけで。
だから、普通の人と変わりないそんな 生活のスタンスが唄なんですね。」
ア「は〜、そうすると生活そのものが唄?」
千「そうね、夢をみたらこんな夢をみたんだという唄が出来るし女に振られたら振られたという曲が
出来るし、振ったら振ったという曲が出来るだろうし、だからそういうものをどんどんどんどん
みんなにアピールっていうかどんどん出してくことによってまたもう一度自分を見なおすっていう
事も出来るし・・」
ア「あの・・詩をかく時に、例えばさあ書きますよって机に向かって書く時とかあるんですか?」
千「ないですね」
ア「ないですか?」
千「書初めじゃあるまいしね、ほんとにねえさあやろうかなってやれないですね。いつでもどこでも
気分がのったらこうぱ〜っつと出てくるみたいな感じねえ。人が居るとだめ、周りに。」
ア「だめですか?」
千「ダメ、一人の時。例えばねあの ”人生の空から”ってあるでしょ。もうほんとにナツメロの
部類になりましたけどね。いや、去年出したねもうナツメロですから私には。あれはですね
人生の空からっていうのは富山で作った、こりゃなんと、ホテルが駅前のホテルだった。
さだおかという町だったんですけどね。
コンサートが終って、さあそろそろ寝ようかなと思ったらそしたらなんかこう
寝つかれないんだ、疲れてるんだ。疲れてるのはわかるんだけど、なんか
気がはってて寝れないんですよ。おかしいなあ、なんで寝れないんだろうなんて思ってね、
それでも寝なきゃ、明日またコンサートなんだからなんて思ってね。寝よう寝ようと思っても
なかなか 寝つかれなくて、だんだん夜が明けてきたんですよ。
で、しらじら〜っとしてきたんですよ。そしたら、ディーゼルのディーゼルカーの音が
プーっかなんか鳴ったりして、あ〜近く駅だからなあ。そろそろ始発のまあ、汽車でも
出るのかなあなんて思ってね、したらそろそろガサガサ人の声がしたりなんかするわけですよ
「おはよう」とかね。なんかそんなふうにどんどんなってくうちに、あれー俺今なんでここにいんだべ。
って感じたんですね。俺歌唄ってるから今ここにいんのかなあとかね、昔の思い出やなんかが
いっぺんにこうど〜っとね、出て来たりなんかしてね。あ〜どうしたんだろうって急に不安になってさ、
今自分の立場が、なぜここに 居るんだろうみたいな感じで不安になってきて。
それでなんかこう急にねギターを持って、不安解消の為に、んでパッっと持ってジャ〜ンと
やったら♪深く耳を澄ませば朝一番の汽笛、街はにわかにざわめいて♪ なんて、そんであれは
ハッキリ言って自分に対する勇気づけの唄なんです。だから俺にはやりたいことがいっぱい
あるわけですね、 いっぱいあるんだけど、いつでもそれを見ていればあーあれをやるんだ、
あれをやるんだってね、気力が充実してそっちへ目が行ってるんだけど、ふとした時にね、
急に不安になるわけですよ。
今おかれている自分の立場に、あっ、やばいよどうして俺ここに居るんだ、今どこへ行くんだ、
みたいなね。そんな中で最後のあのサビの部分に 入るんだけど廻り道でも いつか君にもいちど
逢えたらいいね。よく自分の唄をわかってないんでね 逢えたらいいね ね、だから今ねそんな
不安の中で いろんなことやってるかもしれないけど、 いつかくたばる前にもう一度あそこに到達
出来ればいいやみたいなね、なんかそんな感じでねそういう勇気づけの感じでね作った唄で、
そんな感じで俺の曲っていうのは大体出来てますね。
♪ 木枯らしに抱かれて ♪
ア「あの、松山さんはとにかく北海道が好きっていうか北海道を離れる気はないといつも
おっしゃってますね」
千「北海道に夢もってるからね」
ア「どんな夢ですか?」
千「ん〜、やっぱりここをねえ一大ねえユートピア というかねなんかこうバ〜っとやってみたいって
気がするね〜。まだまだぜんぜん手がついていないね土地のような気がするからね。
自分でなんか出来るじゃない。それとかさあ、北海道にヒーローがいないわけじゃない。
未だかつて、ねえ北海道でねえヒーローは誰だって挙げてみろって言ったらさ、出てこないんだなかなか。
そういう意味でヒーローがいないからさ、誰でも なれそうな気すんじゃない。したら俺
なってみたいもんね、どうせならね、またこうやってラジオ聞いててね、ばっかやろ〜お前になれるかこのやろ
俺がなるんだと思うヤツもねいるだろうし、そういう 気風・そういう風土そういうのが全部好きなの。
私自分が暮らしていくには最高のとこなの。 ん〜、だからね俺は北海道が大好きなの。」
ア「お正月でおめでたいので、ちょっと無理難題を 吹っかけますが、人間松山千春を自分で
自己分析 なんてするとどんな人間かなって?・・」
千「どんな人間かなってね、そうだなう〜ん どっちかというとね夢を食って生きてるようなところ
ありますしね。で、とにかく北海道にピッタリしてるね。 ん、自分という人間は。何をやらかすかわからない。
何も持ってないところから何かが出てくるような 気もするし、だからそういう意味でね自分自身が
自分自身の人生が自分でおもしろいね。 いったい自分は今度何をやるんだろうみたいなさ
そんときそんときにおいて何をやらかすかわかんない だからこそおもしろいんだね、すごい。」
ア「あの、これから何が起こるかわからない、 そういう人生だから楽しいって松山さん
おっしゃいましたけれども、この一年間25歳って いう年をちょっと考えてみて下さい。
どんな年に なりそう、どうしたいっていうのありますか?」
千「この一年間?そうだなあ、まだはっきり言って ほらねえなにやらかすかわかんないんで計算
出来ないんだけどとにかくね、もっともっと 攻撃的な事をやっていたいね。だからあの〜まだまだ
守備堅めというか守りの体勢になるには早過ぎると 思うし、例えば俺は今この世界に居るわけですよね。
ま、いわゆる歌の世界という中に居るわけなんだけど この中でもすごい矛盾があるわけね。
たくさんの矛盾があるし、フォーク・ニューミュージック と呼ばれてるんだけどこの中にも
すごい矛盾があるわけ。
最初はみんな好きな歌を唄おうみたいな雰囲気が あったのがだんだんこうなんていうかなあ、
どうすれば金が儲かるかみたいなねえ、どうやって やれば少しは税金免れるかみたいなねえ、ほんと
そういう感じにだんだんなってきているから、 そんなものに対する攻撃的なそういう歌も
作ってみたいなあなんて、そんなふうに思いますし だから、曲なんかもそういう意味じゃある程度
どんどんどんどん攻撃するみたいな部分が 出てくるんじゃないかなと思いますけどね。」
ア「今年一年間の松山さんのまた活躍を 大いに期待してます。」
千「うん、是非期待して下さい。自分でも 自分に対して期待してますんで」
松山千春「俺の音楽人生」
〜曲目〜
虹とともに消えた恋・旅立ち・木枯らしに抱かれて
大空と大地の中で
〜私の想い〜
1981年1月のラジオ録音から・・ 残念ながら日にちと詳細は残っていませんでした。
25歳になって間もなくの、新年を迎えた千春さんの 決意が熱く語られた内容の濃い放送
だったと思います。「人生の空から」が出来た時の情景がなんとなく目に浮かんでくるような
気がしたものでした。 あの頃から《北海道のヒーロー》を目指していた千春さん
これを書き起こしているうちに「人生の空から」を 改めて何度も聴いている自分がいました。
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