冬のソナタに魅せられて
なぜこんなにもひかれたのだろう。
なぜこんなにも入り込めたのだろう。
なぜこんなにものめり込んだのだろう。。
なぜこんなにも思いを馳せることができたのだろう。
一昔前の恋愛ドラマを見ているようなそんな錯覚にとらわれる。
古臭いのか逆に新鮮なのかわからないほど。少女漫画に登場するような主人公たち。
少女漫画のごとく繰り広げられるストーリー。どれもこれもが心の琴線にふれる。
基本は絶対に「純愛」「ピュア」愛する人はあなただけ。あなたを思っていたら10年でも待ち続けることが出来るわ。
こんな古典的な女性がいまどきどれだけ日本にいえ世界に存在するかは別として、私のような世代には
特に忘れかけていた少女の頃の淡い初恋に似た、ときめきや憧れや輝きや甘酸っぱい感情や、
わくわくする恋心や・・そんなものを
思い出させてくれるには充分過ぎるほどのドラマだったのだ。
私は基本的にはドラマのストーリーもさることながら、出演者とくに主役の男女が自分の好みのタイプでないと
あまり感情移入をして見ることは出来ない。割り切れないのかどうなのかわからないけど、だいたいはそうだ。
「冬ソナ」は主演女優のチェ・ジウの顔は好きだった。日本人にもよくいそうな顔立ちでチャーミングだし、
なんといってもくるくる動く表情が可愛らしかった。主演男優のペ・ヨンジュンは、申し訳ないがどちらかというと
タイプではなかった。(あくまでも
個人的な好みの問題で、一般的には誰が見ても端正な顔立ちの男性である)
ところが不思議なもので、ドラマの相乗効果か数話も見ないうちに、彼の優しい笑顔にどっぷりと癒されることになる(笑)
私にこういう男性の好みの範囲があったとは生まれて初めて知ったのだが(笑)
地元韓国では「微笑みの貴公子」と呼ばれているとか。ドラマを見ていると納得できるぐらい微笑がステキだ。
多分、私はこのヨン様が好きなのではなく、チュンサンでありミニョンが好きなのだ・・と。そう思う。
この「冬ソナ」を語る上で絶対に欠かせないのが、風景の美しさ。目にする景色がとにかく美しい。
ユン・ソクホ監督のこだわりが随所にちりばめられ、秋の落ち葉並木のシーンやスキー場での雪景色など
すべてが効果的でドラマをいっそう美しいものにしている。
特に凍てつく寒さだったであろう冬のシーンは本当に本当に美しい。私は雪国に生まれ育ってン十年。
雪の大変さはわかっているし雪の苦労はいやというほどしている。だからこそ日頃は美しいとはなかなか思えない。
生活している人にとって雪は時には邪魔者なのだから。でもこの冬ソナに関しては雪というアイテムがなければ
これほどまでに美しい景色はなかっただろうと思う。きっと生活したことのない人たちは、雪に対する憧れを
持つのではないだろうかと思うぐらい美しく演出されている。私ですらそう思ったのだから。。
純愛だから、当然キスシーンは数えるほどしかない。抱擁シーンだってそうだ。お互いの目を見つめ合うだけの
シーンが多いのに、逆にそれがよりいっそう愛の深さを感じさせる。日本でこんなドラマそれこそ30年ぐらい前にしか
なかったんじゃないかと思う。見ている側にミニョンとユジンの想いが心に響いてくる感じだった。
主演の二人が高校生を演じる10年前のシーンは、さすがに少し無理があるんだけど、その10年前のシーンが
あるからこそ、10年後のユジンの悲しいほどの想いが伝わるのだし、楽しかった恋人時代の回想シーンが
生きてくる。小さな雪ダルマを二つ作ってその雪ダルマ同士ををkissさせた時に、チュンサンがユジンに不意打ちで
キスをした時のユジンの驚いた顔とか。遅刻して塀を乗り越えて高さが怖くて降りられなくなったユジンがチュンサンに
助けを求める時のピンクのミトンで手招きするシーンは私のお気に入りのシーンだ。それから罰当番で焼却炉の掃除を
二人でさせられた時の落ち葉を舞い上げるシーンも映像として美しかった。好きなシーンは沢山あって書ききれない。
ミニョンがポラリスのネックレスを雪玉の中に入れてユジンにプレゼントするシーン。
ミニョンがユジンと別れることを決めて海に行って、二人の思い出のものを海に捨てるシーンなどなど。
とにかくユジン役のチェ・ジウの泣くシーンがひたすら多く、瞳いっぱいに涙を浮かべてミニョンを見つめるシーンには
何度ももらい泣きさせられた。こんなにキレイに泣けるチェ・ジウについつい感情移入させられた。(ユジンの気持ちに同意
できるかは別として)ミニョンも切ないほどにキレイに泣く。美しい男性は泣いても美しい(笑)
そしてドラマの場面々に数多く出てくるBGMがまた美しいメロディーで、どれもこれもドラマを盛り上げるのに
一役かっている。Ryuの唄う主題歌も感動的だが、ドラマの中でのシーンを思い出させる挿入歌の効果は絶大だ。
結局20話という、日本のドラマでいったら2クール分ぐらいに相当する放送時間をもってしても
ちっとも長いとも思わず、ラストに近づけば近づくほど「終わるのがいや・・見るのがもったいない」という思いにかられた。
ずっとミニョンとユジンの物語を見続けていたいという気持ちにさせられた。
当然のごとく、ドラマの重要なアイテムとして位置づけられている「ポラリス」のネックレスやミニョンがお洒落に巻いている
マフラーや、ユジンが可愛らしく雪玉をつくったピンクのミトンや、
そういったグッズが欲しくなってしまった。
今のところさすがに購入するまでいはいたっていないのだが、「冬ソナツアー」に参加する女性達の気持ちが
痛いほどわかってしまうのだ。あの二人が歩いた思い出の道や、初々しい高校生の頃のデートの場所や
再会して一緒に仕事をしたスキー場や・・数え切れないほどの名場面を演出したスポットを歩いてみたい、
見てみたいという気持ちがわかる。時間とお金が許すなら今すぐにでも参加したい気分だ。
日韓共同開催W杯の時ですら、これほど韓国という国に興味がわかなかったのに今ではハングルがわかるように
なりたいとか、もっと韓国を知りたい野望がどんどん大きくなっていくのだから影響ははかり知れない。
去年最初の放送がBSで始まった時は、初回から数話を見逃してしまっていたので、「まあいっか〜」と見送って
しまっていたことが少し悔やまれる。その時に見ておけばよかった。そしたらもっと早く「冬ソナ」に出逢えたのに。
BS再放送組の私は半年以上も遅れをとっていたんだもの。字幕版が見たくなってレンタル屋さんに出かけたが
いつも貸し出し中。その貸し出し中の空き箱を手にとって、いとおしそうに見つめる私よりは明らかに年配の
おばさまを見つけ「あなたもなのね・・」と心の中でつぶやく。私がハマってきたドラマの中でもこの作品は秀逸だと思う。
これほど何度見ても飽きないしまた見たいと思うドラマにはこれからどれだけ出会うことが出来るのだろうか。
そう多くはないと思う。そして私の「冬ソナ」フリークはしばらくは続くだろう。
(2004年 1月記)